大人になっても乳歯が残っている…⁈

定期検診に来られて歯周病の歯茎チェックや虫歯のチェックをした際に、成人した大人の方で一本だけ乳歯が残っている方を担当することがまれにあります。
これは永久歯の先天性欠如といい、永久歯が先天的に欠如していると大人になっても永久歯が生え変わることなく、乳歯が残ったままになります。

そもそも乳歯が残っているってどう言うこと?子供の頃に全て生え変わってるはずでは…?とご自身では気づいてない方もいらっしゃると思います。 今日はなぜこのようなことが起こるのかお伝えしようと思います。



永久歯が足りない、先天性欠如とは?

3歳くらいで完成する乳歯の歯並び。乳歯がすべて生えそろうと、20本の歯が並ぶことになります。 また、6歳から12歳くらいにかけてあごの成長とともに永久歯へと生えかわり、親知らずを除くと28本の歯並びになります。

永久歯への生えかわりは個人差があるため、人より1~2年遅くても早くても心配しすぎる必要はありませんが、乳歯がいつまでも残っている場合は注意が必要です。

●乳歯はどのように抜ける?

歯肉(歯茎)の中で永久歯が十分に育って萌出を始めると、その上にある乳歯の根が吸収されて短くなり、やがて抜け落ちます。 これが歯の生え変わりのメカニズムですが、永久歯が育っていないと乳歯の根は吸収されませんので、大人になっても永久歯が生えるべき場所に乳歯が残ったままになります。

●永久歯がない方が増えている

永久歯は上下顎で合計28本ありますが(親不知は除く)、生えて来るべき永久歯が生えて来ないことを「先天性欠如」と言います。 本来乳歯の下では将来永久歯になるための芽のようなもの(歯胚/しはい)が育っていますが、何らかの理由で歯胚が出来ない場合は永久歯が萌出せず、先天性欠如歯となります。先天性欠損歯、無歯症とも言います。 先天性欠如の原因は明らかにはっていません。遺伝や妊娠中の栄養欠如、全身疾患、薬物の副作用などが考えられていますが、因果関係ははっきりしていません。したがって予防することは出来ないのが現状です。

●どのくらいの人が先天性欠如歯になっているの?

日本小児歯科学界が2011年3月に発表した調査結果によると、小児歯科を受診するお子様のうち10人に1人に、1本~数本の永久歯の先天性欠如が認められたそうです。 この調査では第三大臼歯(親不知)は対象となっていませんので、最も多いと考えられる親不知の先天性欠如を含めると、永久歯の先天性欠如30~40%にのぼると言われています。

●どの歯が先天性欠如歯になりやすい…?



日本小児歯科学界の調査によれば、上顎(約.4.37%)より下顎(約7.58%)と発生頻度が高く、部位的には左右共に第二小臼歯(5番)と側切歯(2番)に多く認められました。

●乳歯を残したままでも大丈夫?

永久歯が欠如している場合は、乳歯を出来るだけ長く残すようにします。個人差がありますが、20代~30代まで乳歯が残っているケースもあります。 しかし乳歯は永久歯と比べて根が浅く、また虫歯になりやすいなど歯質自体も永久歯より弱いため、永久歯の代わりに一生ずっと残すことは非常に難しいと考えてください。

●乳歯が抜けてしまったら…??

先天性欠如部位から乳歯が抜けてしまうと、一般の欠損歯と同じ状態になります。
歯がない部分に向かって隣接の歯が倒れこんできます。


歯が失われたままの状態が長く続くと両隣の歯が欠如部分に向かって倒れて来たり、欠如部分と向かい合う歯が伸びて来たりして歯並びやかみ合わせを悪くし、お顔やあごの変形や骨格の歪みを誘発することがあります。最悪の場合、支えを失って倒れ込んだ歯や伸びて来た歯がそのまま抜け落ち、欠損本数がどんどん増えてしまうこともあります。 虫歯や歯周病(歯槽膿漏)で歯を失った場合と同様に、先天性欠如で乳歯を失った場合は早めに欠損治療を受けられることをおすすめします。特にお子様は歯並びの悪さが成長や発生、呼吸にも影響を与えることがありますので、“掛かりつけ歯科”を作って定期的にチェックを受けるようにすることをおすすめします。


どんな治療が出来る?

1、義歯治療

人工歯を取り付けた義歯床を金具(クラスプ)で周りの歯に固定したり、義歯床を口腔内の粘膜に吸着させたりして噛む機能を回復する補綴物です。 一部の素材については保険が適用されるため、比較的安く作ることが出来ます。 目立たない審美性の高い義歯(入れ歯)や、ガタつきなどが少ない快適な義歯(入れ歯)をご希望の方は、保険適用外のものをお選びください。



2、ブリッジ治療

欠如部の両隣の歯を削って支え台とし、冠状の人工歯と欠損部を補うポンティック(支え台のない人工歯)をつないだ冠橋義歯を支え台に固定して欠損部を補います。 義歯(入れ歯)同様一部の素材については保険が適用されますが、白い素材を使用できるのは前歯の表側に限られているため、奥歯のブリッジに白い素材を使用する場合は保険適用外のセラミック素材をお選びください。



3、インプラント治療

欠如部に直接人工歯根(インプラント)を埋入し、上部構造(人工歯)を取り付けて欠損を補います。 保険適用外の治療法のため治療費が高くなりますが、上部構造(人工歯)に白いセラミック素材を使用すれば自然な歯列に仕上げることが出来ます。 天然の歯と変わらない見た目と噛み心地を回復できるという特徴があります。



4、矯正治療

欠如部位を利用して、歯列矯正を行うことも可能です。ガタガタな歯並びや極端な出っ歯を矯正治療で改善するためには、数本の抜歯を行って歯を動かすスペースを作らなければならないことがあります。 欠如歯のスペースを利用することで、矯正治療のための抜歯本数を減らすことが出来ます。 ご自分では分かりにくいと言う方は、一度定期検診にお越しいただきトータルでチェックをすることができますので、ご相談ください。