歯周病と認知症の関連について

歯周病治療が認知症予防になる?

歯周病治療が認知症予防になる 笑顔の老夫婦の写真

近年の超高齢化社会において切り離せないのが、認知症患者の増加。2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症すると予想されています。認知症のうち半分以上の割合を占めるのが、アルツハイマー型認知症です。最近の研究では、歯周病がアルツハイマー型認知症の進行に大きく影響すると言われています。
歯周病とアルツハイマー型認知症、一見何の関連性もないように思いますが、実は大きな因果関係があったのです。そもそもアルツハイマー病とは、アミロイドベーダなどの異常なタンパク質が、十数年かけて少しずつ脳に蓄積されて発症、進行につながる病気です。
近年の研究では、歯周病の原因菌やその毒素が血管から侵入することにより、体内にアミロイドベーダが作られ脳に蓄積していき記憶障害が起こる、という仕組みが解明されています。さらに、歯周病が脳への蓄積を加速させてしまうことも明らかになりました。
このことから、歯周病の治療や予防がアルツハイマー病の発症や進行を遅らせる有効な手段になり得ると言えるのではないでしょうか。 歯周病は国民病と言われるほど患者数が多く、高齢者だけでなく30代以上の3人にひとりは歯周病を抱えており、自覚症状のないまま進行していることが多い感染病です。
若いうちから歯科医院で定期的な口腔管理をすることで、全身の健康を守りましょう。

歯周病の原因

そもそも歯周病とは、歯の周りにある歯周組織に起きる炎症性の病気の総称をいいます。
歯周病の原因は歯に付着したプラーク(歯垢)の中の細菌と、それに対する体の炎症反応です。口の中にいる細菌は800種類以上で、プラーク1㎎中に約1億もの細菌があり、その中に歯周病に関連する細菌がいくつかあります。
歯磨きが不十分だとプラークが取り除かれず歯に付着したままとなり、歯肉は細菌毒素の持続的な作用を受けて、歯周病になりやすい状態となります。
プラークが石灰化して歯石の状態になると、歯磨きだけでは取り除くことができなくなり、歯石の周りにさらにプラークが付着しやすくなり、歯周ポケットが形成されると、ポケット内にもプラークや歯石が付着し、取り除かれなければ歯周病はさらに進行することとなります。
歯ぎしりや噛み合わせの問題、ホルモンバランスの乱れ、喫煙、全身疾患なども歯周病の進行に関連する因子とされています。

歯周病の症状

歯周病はある日突然発症するのではなく、徐々に進行していきます。

1)歯肉炎(初期段階)

初期の段階ではほとんど自覚症状はなく、歯肉炎の段階では、歯を磨いていると歯肉から血が出る、歯肉が赤く腫れる(本来はピンク色)、口の中がねばつくなどの症状が見られます。

2)歯周炎

歯肉炎の症状が進み、歯周炎になると、歯肉炎の症状に加えて、歯肉が下がったり(歯が長くなったように見える)、歯周ポケットから膿が出たり、歯槽骨が溶け出して歯がぐらつきはじめます。嚙むことが難しくなり、自然に抜けてしまうこともあります。口臭がきつくなることもあります。

3)全身へ影響が及ぶ可能性

歯周病が悪化すると、細菌が口腔内の血管から全身へ回って、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患に関連するともいわれています。
糖尿病の患者は歯周病になりやすく、逆に歯周病が糖尿病を悪化させる一因であることもわかってきています。

歯周病の症状について

歯周病の予防法

毎日欠かさずにブラッシングを行い、歯に付着したプラーク(歯垢)を取り除いていくこと(プラークコントロール)が大切です。
歯ブラシの届きにくい歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)なども使ってしっかりケアしましょう。
歯科医院で自分に適した清掃方法の指導を受けることもおすすめです。
日々のお手入れや歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると再発することもあります。
歯周病は子どもから大人まで約8割の人が罹患している可能性があると言われており、中年期以降は特に注意が必要です。

歯科医院でブラッシング指導を受ける女性

歯周病の治療

歯周病はその進行の程度により、いくつかの治療が適応されます。

1)基本治療

歯周病の進行の程度にかかわらず、初めに行われるべき治療が歯周基本治療です。原因である歯垢の除去および歯石の除去、歯の根の面の滑択化、ぐらぐらする歯の咬み合わせの調整などです。

1.歯垢の除去

歯垢の除去をプラークコントロールといい、そのほとんどはご自宅でのセルフチェックとなります。 場合によっては、歯科医院で器械的に行うこともあります。

2.歯垢・歯石の除去

スケーリングは歯の表面や根の表面の歯垢歯石を器械で取除く事です。ルートプレーニングは歯の表面がざらざらしたり、歯石で満たされていたり、毒素や微生物で汚染された表層を除去する方法で、多くの場合スケーリングと同時に行われます。

3.噛み合わせの調整

また、歯周病の進行に伴い歯は動いてきますが、動いている歯で噛むとさらに負担が増すため、その負担を軽くするために歯を削るなどして咬み合わせの調整を行います。それでもぐらぐらして噛みづらい場合は歯科用の接着剤で隣の歯と接着し、ぐらぐらを抑えていきます。

これら基本治療により歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅く(2~3mm)維持されればメインテナンス(定期検診)に移行します。

2)外科治療

基本治療で一部ポケットの深さが改善されず、ポケット内で細菌が生息し、ブラッシングで除去できない状態や、歯周病の進行が進んでしまった状態に対して外科的にポケットの深さを減少させる手術があります。
また、特殊な材料を用いて部分的に失われた骨を再生させる手術(再生療法)を行う場合もあります。手術はそれぞれの病態にあった方法が適応されます。
ポケットが改善されれば、メインテナンスに移行します。

 

歯周病のチェックをご希望の方や詳しく聞きたいという方は、お気軽にお問い合わせください。

 


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