噛み合わせが悪いとどうなる?矯正以外の噛み合わせ治療は?

口を開くと顎がカクっと音がする、寝ている間に歯ぎしりをする、片側で噛む癖があるなど思い当たる方は噛み合わせが悪くなっている可能性があります。

噛み合わせが悪いと全身に影響を及ぼす可能性も。逆に噛み合わせを直すことで悩んでいた症状が治ることもあります。

正しくない噛み合わせにも種類があり、矯正治療以外の治療で治る可能性があります。

噛み合わせの原因や全身に及ぼす影響、噛み合わせ治療の種類などについてご紹介します。

 

噛み合わせが悪くなる原因は?

指しゃぶりしている画像

 

噛み合わせが悪くなる原因は大きく分けて3つあります。

遺伝

遺伝によるもので子が親に似た歯並びや噛み合わせになるのはこのためです。 歯と顎のバランスがとれていない場合は叢生(ガタガタの歯並びで、俗に言う八重歯など)に、上下の顎の骨のバランスがとれていない場合や歯の並ぶ角度が悪い場合は、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)になります。

骨の発育障害や指しゃぶりなどの癖によるものです。 例えば骨の発育障害が部分的に現れると顎の変形、指しゃぶりがあると開咬(前歯がかみ合わない)などが起きてきます。

虫歯や歯が抜けたまま放置

虫歯を治療しないで放置したり、歯を抜いたままにしておくと、その部分を避けて噛む習慣ができ、歯が正常な位置から移動して歯並びや噛み合わせが異常になることがあります。

「噛み合わせの悪さ」のセルフチェック

上下の歯を合わせたとき、奥歯も前歯もすべての歯が同時に接触するのが、正常な「噛み合わせ」です。噛み合わせの悪さは、口の中や周辺はもちろん、全身のあちこちに悪影響を及ぼす恐れがあると考えられています。長年、悩まされている不快な症状は、もしかしたら噛み合わせの悪さからきているのかもしれません。

噛み合わせの悪い人に共通してみられる症状などは以下の通りです。あてはまる項目が多いほど、噛み合わせが悪くなっている可能性がある、といえます。

今の「噛み合わせ」をチェックしてみましょう。

10つのチェック項目

  • 歯が抜けたままになっているところがある
  • 治療していないむし歯、詰め物がとれたままのむし虫歯がある
  • 食べ物を片側で噛むクセがある(気がつくといつも同じほうの歯で噛んでいる)
  • 食事のたびに、あるいはかたいものを食べたとき、あごが疲れる
  • 口を大きく開きづらい(とくに朝、起床直後)
  • 口を大きく開こうとすると痛む、カクッ(コキッ)と音がする、あごがはずれる感じがする
  • 「寝ている間に歯ぎしりをしている」と言われたことがある
  • 日中、気がつくと、歯を食いしばっていることがある
  • ほうれい線の出方や口角(口の両隅)の位置など、口の周辺を中心に左右対称ではない
  • 片方の肩が下がったりして、頭や体全体が傾いている

顎関節症や、歯が痛む・しみる、食べ物がはさまるなどの原因にも

噛み合わせの悪さが最も影響しやすいのは、あごの関節がズレて、口が開けづらくなったり、疼痛を伴うことがある顎関節(がくかんせつ)症です。食いしばり・歯ぎしりの習慣や精神的なストレスなどとともに、噛み合わせの悪さは顎関節症の原因の一つとされています。

また、噛み合わせの悪さから、歯の一部に過度な力が加わるようになり、歯がすり減ったり痛む、知覚過敏、歯の間に食べ物がよくはさまる、といった症状がみられるようになることがあります。むし歯を治療してもこれらの症状がある場合、噛み合わせを調整する治療でおさまるケースもあります。

歯への過度な力は、歯を支える土台にとっても負担となり、歯周病を悪化させやすくします。歯周病治療と同時に噛み合わせの調整を行うと、治療が進みやすくなります。

このほか、噛み方がずれるために、食事中にほおの内側や舌、唇などを噛みやすくなり、口内炎を起こしやすくなる場合もあります。

全身へ及ぼす影響

噛み合わせの悪さが全身へ及ぼす影響

 

噛み合わせのズレは、お口の中だけでなく全身に影響を与えます。以下のような症状があった場合は、噛み合わせの悪さが原因となっている可能性もあります。

偏頭痛

噛み合わせが悪いと、顎の周りの筋肉が緊張します。

顎の周りの筋肉は、頭の側に繋がっているものも多く、特に“側頭筋”は、顎関節から頭の横につながる大きな筋肉で、噛み合わせの影響を受けやすくなります。

筋肉の緊張が続くと、血行が悪くなり、痛みとなって頭痛を引き起こす事があります。

肩こり

頭痛と同じ原理で、顎の周りの筋肉が緊張する事により、肩の周りに繋がっている筋肉の血行が悪くなり、肩こりが起こりやすくなります。

顎から首、肩に繋がる“広頸筋(こうけいきん)”が、影響を受けるためです。

腰痛

下の顎は、背骨(脊椎)につながっているため、噛み合わせが悪いと下の顎がズレてしまい、背骨が歪んでいき、腰痛などの原因になります。

顔の歪み

顔には咀嚼筋や表情筋など、約30種類の筋肉があります。噛み合わせが悪いと、噛む力が左右片側に偏ってしまう事があります。噛む力が偏ると、左右で筋肉の厚さに違いが出て、顔がゆがんでしまう事があります。

見た目にも影響を受けますし、筋肉の偏りによって余計に噛み癖に偏りが出て、悪循環になってしまいます。

自律神経の乱れ

噛み合わせが悪いと、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、自律神経系が狂うことがあります。 ストレスに噛み合わせの悪さが拍車をかけて、精神的に不安定になると、自律神経失調症になる場合もあるので、注意が必要です。

自律神経の乱れによる症状は様々で、例えば、倦怠感・目眩・立ち眩みなどがあります。

また、精神的な症状としては、不安感・疎外感・落ち込みなどがあります。

この様に、顎は体の重心のバランスを保つ役割があります。しかし、噛み合わせがズレることによって全身のバランスも崩れてしまいます。

そのため、噛み合わせが悪いと頭痛や肩こり腰痛などの原因になります。

また、全身のバランスが悪くなることでイライラや不眠など心の不調まで引き起こしてしまうことがあります。

なぜ噛み合わせの悪さが全身に及ぶのか

歯列不正による悪い噛み合わせの例

 

噛み合わせが乱れると、顎関節に大きく影響します。顎関節は、体の軸である背骨につながっていて、全身のバランスを取る際に大切な役割を果たしているほか、首から上の筋肉とも密接に関係しています。そのため、顎関節のバランスが乱れると、全身に悪影響が及び、さまざまな症状を引き起こすのです。

正しい噛み合わせとは

理想は山と谷が噛み合っていること

顎の力が分散している

正しい噛み合わせであれば、全部の歯で顎の力を受け、噛み締める力を歯それぞれに分散できます。 逆に正しくない噛み合わせで、そこだけ一番よく当たるという歯があると、集中的に力が加わりダメージを受けます。(咬合性外傷)

毎日一定時間強い力が加わることによって、歯そのもの以外にも歯を支える組織(歯を支える歯槽骨や歯根膜、セメント質)にもダメージを与え、腫れたり痛んだりすることがあります。

また、それを放置すると歯を支える歯槽骨が溶けて歯がグラグラするなど症状に広がります。

正しい顎の位置で運動できている

歯の噛む面はボコボコしており、上下で山と谷が噛み合うことで正しい顎の位置で運動ができます。

逆に歯の噛む面がツルツルになっていて、どこでも噛めるような状態は正しくない噛み合わせと言えるでしょう。 これは歯軋りなどが原因で歯の噛む面の山ががすり減っている状態です。

山がすり減って平らな面で下顎がどこの位置でも噛める状態

 

正しい噛み合わせチェック

正しくない噛み合わせや、それによる症状も様々なケースがあります。

以下のように問題がないことが正しい噛み合わせとして理想的です。

  • アゴの違和感、痛みを感じない
  • 左右の奥歯が均等に、しっかり当たって噛める
  • 上下で軽くカチカチ噛んだ時、上の前歯に下の前歯が強く当たっていない
  • 上下の犬歯がしっかりと噛んでいる
  • 下アゴを歯軋りのように左右へずらした時、上下の歯は犬歯が当たっていること。その時奥歯(特に奥から2本、第一大臼歯、第二大臼歯)が当たらない

正しい噛み合わせでの下顎のスライド

 

  • 下の犬歯3が上の側切歯2と犬歯3の間に噛み込んでいる

理想の位置

  • 上下の歯の間に大きな隙間がない

奥歯で噛んだとき前歯が当たらない不正咬合

噛み合わせ治療の種類

正しくない噛み合わせにも種類があり、それによって直し方も変わってきます。

>噛み合わせ治療の種類

矯正治療

歯並びの不正で噛み合わせ治療法が必要な場合は矯正の治療が必要といえます。

詰め物や被せ物の調整・変更

歯ぎしりや不適な詰め物被せ物によって歯の形が理想的でなく噛み合わせが良くない方は被せ物にて歯の形を理想的に作る治療もあります。

当院では噛み合わせ治療に力を入れています。噛み合わせが悪く悩んでいる方は、ぜひ一度当院にお越しください。

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