すきっ歯とは
そもそも「すきっ歯」とは、歯と歯の間に隙間が空いていることです。正式名は「空隙歯列(くうげきしれつ)」や「歯間離開歯(しかんりかいし)」と言います。虫歯などで穴が空いたわけではなく、自然に隙間が空いてしまっている状態です。
場合によっては虫歯や歯周病で奥歯をなくしたことにより、前歯が開いてしまうこともあります。すきっ歯の場合、隙間に食べ物が詰まって虫歯になりやすい傾向があります。歯医者さんで治療することで治すことは可能です。後ほど治療方法も紹介します。
すきっ歯になる2つの原因
すきっ歯になる主な原因は2つあります。1つは生まれつきによるもの、もう1つは習慣や癖によるものです。それぞれ紹介していきます。
1. 生まれつきによるすきっ歯
生えてきた歯が生まれつき小さい
すきっ歯になっている部分のもともと生えてきた歯が小さい、もしくは形が悪いと歯の隙間ができやすくなり、すきっ歯になる傾向があります。
生えてくる予定の歯が欠損して生えてこない
成人の場合、上下の永久歯の数を合わせると28本になります。しかし、人によっては遺伝や何らかが原因で歯が不足していることがあります。歯が根の周辺やアゴの骨の中に埋まったままの場合もあります。本来あるべき場所に歯が生えてこないので、隙間ができます。
歯とアゴの大きさのアンバランス
歯とアゴのバランスが崩れると、歯の間に隙間ができます。具体的には、歯の大きさに対してアゴが大きすぎる、アゴの大きさに対して歯が小さすぎるなどです。隙間がある部分は人によって異なり、前歯だけに隙間がある場合や全体的に隙間がある場合など、色々な場合があります。
2. 習慣からなるすきっ歯
子どもの時からの習慣が原因で、すきっ歯になることがあります。この場合、習慣を直さないことには治療したあとも再発することがあるので、まずは習慣をなおしましょう。
頻繁にほおづえをつく癖がある
ほおづえをつく癖があるなら、やめましょう。奥歯のかみ合わせがおかしくなってきます。歯並びだけでなく、姿勢も悪くなるので習慣化している場合は気をつけて直していきましょう。
決まった体勢で毎回寝てしまう
ヒトの骨格は本来、仰向けで寝るように成長しています。小さいころからうつ伏せや横向きで寝る習慣を続けていると、歯列や顎顔面の骨のゆがみ以外にも、全身の骨格が寝る姿勢に合わせた形に歪みます。いつも同じ方向を向いて寝ていると、骨格が歪んでしまい、アゴに影響を与えてしまいます。寝る向きに癖がついているときは、枕やクッションなどを使って矯正するようにしましょう。
舌を前に押し出す癖があるために歯が広がってしまっている
食べ物や飲み物を飲み込む際に、舌を前歯の裏に押し付けて飲み込む癖のある方は前歯が徐々に開いてすきっ歯の状態になってしまいます。
幼児期に指しゃぶりの癖が治らず、出っ歯になっている方や力を入れないと唇を閉じる事が出来ない方に、この傾向があります。この様な場合は舌癖(ぜつへき)を治すトレーニングが必要ですが、成人になるとなかなか治りません。ですから矯正ですきっ歯を治しても、また舌で押してしまい、すぐに後戻りしてしまいます。
すきっ歯を放置するとどうなるか
1. 虫歯や歯周病になりやすくなる
歯と歯の間に隙間があると、隙間に食べ物が詰まりやすくなるので、お口の中が不潔になりがちです。食事の後もお口の中に食べ物が残っていると、虫歯や歯周病の原因となります。
2. 食べ物を噛み砕きにくくなる
すきっ歯というのは、数ミリのすき間でしかないのですが、歯の機能を十分に生かすには大きな障害となり得ます。食べ物を噛む、咀嚼するというのは、私たちが生きていく上でとても大切な機能です。
3. 噛み合わせが悪くなる
私たちの歯は、お互いがお互いを支え合って歯並びを作り上げています。なので、虫歯や歯周病などで歯を1本でも失うと、そのすき間を埋めようと周りの歯が移動を始めます。これと同じ現象がすきっ歯でも起こります。歯並びが悪くなるとかみ合わせも悪くなるので、お口全体に与える悪影響はとても大きくなります。
4. 発音障害
私たちが言葉を発するときには、声帯のような発声器官(はっせいきかん)だけではなくて、舌や歯などの構音期間(こうおんきかん)も助け合って機能しています。
歯の間に隙間があると、そこから息が漏れます。
息が漏れると発音が難しくなり、舌足らずな喋り方になってしまいます。発音障害が起こると日常生活で悪影響を生じてしまう可能性があります。 生活の上で「話す」ということはとても大事です。
そのため重度の発音障害を引き起こす前に、治療を行うことをおすすめします。
治療方法
ダイレクトボンディング法
歯の側面に、コンポジットレジンという樹脂をくっつけてすき間を埋めます。
〜メリット〜
- 樹脂をくっつけるだけなので簡単で1日で終わる
- 色調が自分の歯に合いやすい
- 歯を削らなくていいので歯に優しい
- セラミックほど費用がかからない
- 元の歯の形に戻るので、将来矯正をする方には有利
〜デメリット〜
- 長年の使用で変色することがあるので、定期的に研磨が必要
- 歯の横幅が長くなってしまう
- 歯のすき間が大きすぎるとできない
- 歯のすき間を治すだけで、歯並びを治すわけではない
- 色調が自分の歯に合いやすいが、完全に合うとは限らない
ラミネートベニア法
歯の表面を0.5mmほど削って、そこにセラミックの貝殻状のものを、付け爪のように貼り付けて、すき間を埋めます。
〜メリット〜
- セラミックは天然の歯よりも綺麗なため、すき間が埋まるのと同時に、歯自体が美しくなる、またホワイトニングの代わりにもなる
- 歯の色がぴったり合う
- セラミックなので、変色しなくて、汚れも付きにくい
- 歯を削る量が少ないので歯に優しい
- すき間が比較的大きい方にもできる
〜デメリット〜
- 少しではあるが歯を削らないといけない
- 費用がかかる
- 維持が少ないので取れやすいことがある
セラミッククラウン法
歯にすっぽりとセラミックのかぶせ物をかぶせてすき間を埋めます。
〜メリット〜
- 見た目が最もキレイで、変色もなく、汚れも付きにくい
- すきっ歯の部分だけでなく、前歯全体をキレイにできる
- 頑丈で外れる可能性が非常に低い
- 歯の色も形も自由自在にできる
〜デメリット〜
- 歯を削らないといけない
- 費用がかかる
- 回数がかかる(矯正よりは短期間)
部分矯正〈マウスピース部分矯正〉
取り外し式のマウスピース(インビザライン)をお口の中に入れて、交換しながら歯を動かしてすき間を治します。
〜メリット〜
- 透明なマウスピースなので、矯正していることが気づかれにくい
- 歯のすき間だけではなく、前歯全体の歯並びを治すことができる
- すき間が大きい場合でも治る
- 歯自体を動かすので、歯を削ることもなく、自分の歯の形、色を温存できる
- 取り外し式なので、大事な用がある時などは外せる
〜デメリット〜
- 取り外し式なので、お口の中に入れないと歯が動かない
- 費用がかかる
- 後戻りをする可能性があるので、治療後も保定の装置を入れないといけない
部分矯正〈ワイヤー部分矯正〉
歯にワイヤーを付けて、歯を動かしすき間を埋めます。
〜メリット〜
- ワイヤーなので、確実に歯が動くので大きなすき間も治る
- 歯のすき間だけではなく、前歯全体の歯並びを治すことができる
- 歯自体を動かすので、歯を削ることもなく、自分の歯の形、色を温存できる
- 矯正治療ではあるが、部分矯正なので期間が比較的短い
- マウスピース矯正との違いは、ワイヤーを付ければ、本人の努力もいらずに勝手に歯が動いていくこと
〜デメリット〜
- ワイヤーが見えてしまうのが気になる方には不向き(歯の裏にワイヤーを付ければ、見えないが費用が余分にかかる)
- 費用がかかる
- 後戻りをする可能性があるので、治療後も保定の装置を入れないといけない
どの治療があっているのか、費用がどのくらいかかるのかなど、すきっ歯にお悩みの方やもう少し詳しく聞きたいという方は、お気軽にお問い合わせください。
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- 小児歯列矯正の必要性やメリット・治療の流れ
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